安心して観ることができます(たぶん) アルカス演劇サークル×吟ムツの会『マグノリアの花たち』

所用のため、29、30日の札幌公演を観ることができなくなり、ついでに仕事等で佐世保に行けなくなったため、通し稽古を見学(パトスにたどり着くまで、いろいろと悲劇がありました)。

作品は、舞台として上演された後、映画化されて人気となった『マグノリアの花たち』。アメリカの小さな美容院を舞台に、そこに集まる6人の女性の絆を描く物語だ(ちなみに映画版は、舞台では名前しか出て来ない夫や彼氏など男性陣が出てくるのと、場面が美容室から外に展開する-という違いがあります。若かりし頃のジュリア・ロバーツがかわいい)。

映画として世に出ていて、さらに日本でも上演されている戯曲のため、物語を知らない人が観ても人間関係やそれぞれが抱える背景もわかりやすい。映画版を観ている身としては、宮原清美さんの演出は、余計なことを挟まず、物語と同等に役者の個性にも光を当てているかのようにも見えた。札幌で有名な既成脚本を上演すると、やたらとせりふに北海道弁が挟まれたり、どうでもいいギャグで笑いを取ったりする舞台が散見される(で、正直うんざりする)。稽古中もちらちらと宮原さんの表情を見ていたが、まだ納得できるレベルに達していないとはいえ、真っすぐに脚本と向き合う姿は素敵である。

ただ、本番の2日前という状況で気になったこともある。女性6人が集まれば大層にぎやかになるのは想像できるが、感情が爆発する場面の前後を除いて、高めのテンションがずーっと続く。そのため、せりふで言っていても、それぞれの心の機微が見えにくい。だから、間に挟まれるナガムツさんの「見せ場(劇場で楽しんでください)」も、なんだかダラッと流れて、アレを挟む効果が半減していた。そこを今日一日でどう補正していくのか、確認できないのが残念だが。

佐世保から来た2人は個性的で「札幌にこういう役者はいないなぁ」と見てしまうし、泉水さんのシェルビーはかわいいし、大橋さんのマリンは「お母さん」ならではの迫力がある。でも何より、吟子さんとナガムツさんの2人。泣ける場面のはずなのに、2人が並んでいる姿を見て何だかおかしくなって吹き出すのは私だけだろうか。

●2018年9月27日、ことにPATOSにて稽古見学

※途中休憩はありますが、稽古では2時間を超えていたので座布団持参をオススメします。また、会場内が暑くなるので、脱ぎ着で調整することもオススメします。

text by マサコさん

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